約4カ月ぶりの実戦マウンド、初回は5球で三者凡退
大谷翔平にとって、この日の登板は特別な意味を持つものだった。2025年11月1日のワールドシリーズ第7戦でマウンドに上がって以来、約4カ月ぶりの実戦登板。2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では打者専任として活躍したものの、マウンドに立つことはなかった。そんな中での春季キャンプでの初登板に、注目が集まっていた。
試合は華氏約100度(摂氏約38度)という記録的な猛暑の中で行われたが、大谷はそんな厳しいコンディションを全く意に介さない様子だった。初回の立ち上がりは、わずか5球で三者を退ける完璧な滑り出し。制球力の高さと球威の強さを同時に見せつけ、会場を沸かせた。
最速99マイル、4奪三振の投球内容
この日の大谷は4回1/3を投げ、被安打1、与四球2、死球1、奪三振4という成績を残した。投球数は61球で、そのうちストライクは34球。初奪三振はウィリー・アダメスから記録し、計4つの三振を奪った。
最速球速は99マイル(約159キロ)を計測。2023年シーズン終盤に肘を負傷し、2024年はマウンドに立てなかった期間を考えると、この球速は驚異的といえる。ファストボールを軸に、変化球も織り交ぜながら打者を翻弄した。
唯一の被安打は2回表、ジャイアンツのヘリオット・ラモスに放たれた二塁打。それでも無失点に抑え込み、ランナーを背負った場面でも冷静な投球を続けた。デイブ・ロバーツ監督は試合後、「球質は本当に良かった。登板を重ねるにつれて、さらに鋭くなっていくはずです」と手応えを語った。
5回到達が一つの目標、猛暑の中で4回1/3
ロバーツ監督は「5回に到達したことは私たちにとって大きな収穫でした」とコメント。実際には4回1/3での降板となったが、開幕まで残りわずかとなったこの時期に、これだけのイニングを投げられたことは大きな前進だ。
「彼は残り登板が少ないことを分かっているから集中していた」とロバーツ監督。大谷自身も通訳を介して、「今日の球数には満足しています」と話しつつ、「次の登板では、ツーストライクからの決め球をもっとうまく投げたい。思ったほど打者を仕留め切れませんでした」と、早くも次戦への課題を見つけていた。
WBCでは打者専任、二刀流完全復活へ
大谷は今年3月のWBCに日本代表として出場したが、投手としての登板はなく打者専任での起用だった。それでも5試合で13打数6安打、打率.462、3本塁打という圧倒的な成績を残し、日本の優勝に貢献した。
WBC期間中はブルペンでの投球練習のみを行い、実戦登板は控えていた。ドジャースと合流後、アリゾナでのライブBP(打撃投手)を経て、この日ついに実戦のマウンドへ。二刀流としての完全復活に向けて、着実にステップを踏んでいる。
ロバーツ監督は打撃面について「打席に立つ機会はすでに十分にあった。打撃は心配していない」と語った。実際、大谷はWBCでその打撃力を証明済みで、投手としてのコンディションを整えることが春季キャンプでの最大の課題となっていた。
2025年シーズンの活躍を経て、2年連続王者へ
大谷は2025年のレギュラーシーズンで14先発を果たし、防御率2.87を記録。ポストシーズンでは2勝1敗、防御率4.43という成績を残し、ドジャースの2年連続ワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。
2022年にエンゼルスで記録した28先発、15勝9敗、防御率2.33という素晴らしい成績を残した後、2023年終盤の肘の負傷で2024年シーズンを棒に振った。しかし2025年に見事復活を果たし、今シーズンはさらなる進化が期待されている。
MVPを4回受賞している大谷だが、投打の両面で安定したパフォーマンスを見せ続けることが、3年連続のワールドシリーズ制覇への鍵となる。
開幕まで残り1週間、次戦は3月20日のパドレス戦
大谷の次戦は3月20日(金)のサンディエゴ・パドレス戦で、この試合では指名打者(DH)として出場予定だ。ロバーツ監督によると、投手としての次回登板は来週、3月25日前後のプレシーズン最後の先発登板になる見込みという。
2026年のレギュラーシーズン開幕は3月26日。開幕まで残り1週間余りとなり、大谷の調整も最終段階に入った。この日の登板で見せた球威とコントロールを維持しつつ、本人が課題に挙げた「ツーストライクからの決め球」の精度を高められれば、開幕から投打にわたる大活躍が期待できる。
猛暑の中で見せた4回1/3無失点の投球は、ファンにとって何よりの安心材料となった。二刀流の完全復活、そしてドジャースの3連覇に向けて、大谷翔平の2026年シーズンが幕を開けようとしている。


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